Focus On 乾文良

私のきっかけ

社会に思いをもって行動するイノベーターたちは、その半生の中でどのような作品(書籍・音楽・映像など)と出会い、心動かされてきたのでしょうか。本シリーズでは、Focus Onにて取材させていただき、ストーリーとして掲載させていただいている方々にお話を伺い、それぞれの人生のきっかけとなった作品をご紹介していきます。


▼今回のイノベーターはこちら

エピグノシステムズ株式会社 乾文良

代表取締役社長CEO

1986年生まれ。香川県出身。大学卒業後、富士通へ入社。メガバンク担当アカウントセールスとして、銀行システムのセールスに3年間従事。その間にマーケティングワーキンググループにも最年少メンバーとしてアサイン。また、大型商談の担当セールスとして社内表彰受賞。退職後、慶應ビジネススクールにてMBAを取得。専門は経営戦略。また、在学中にドイツマンハイム大学ビジネススクールへ約6ヶ月間留学。卒業後は家業である商社にて経営企画業務、経理・財務業務、M&Aを担当。継承を考えていたが、ビジネススクールの学友である志賀と出会い、エピグノシステムズを共同創業。

https://epigno.jp/



―きっかけとなった作品はありますか?

私が心の中で思いを持っていまだに覚えてるのは、『華麗なる一族』っていう、もともと山崎豊子さんの原作小説がありますけど、あの作品をTBSが開局55周年記念番組としてドラマ化していたんですね。


あのドラマ版のキムタクはすごく大好きで。万俵鉄平(まんぴょう てっぺい)って役なんですけど。リアルタイムでも見てましたし、DVDも買ってよく見返してました。あまりに好き過ぎて(笑)。


―その作品との出会いは?またその出会いによって、どんなきっかけが生まれましたか?


2007年くらいかな。ちょうど大学時代、留学に行く前くらい。将来は父の会社を継承しようと思っていたときなんですけど。


このドラマは実際の話が元になっている物語なんですが、万俵家っていうのが神戸にあって、お父さんが阪神銀行っていう銀行の頭取なんですよ。彼に息子が2人いて、そのうちのお兄さんの方が、主人公である万俵鉄平なんですね。


彼は本当に箱入りなので、「大学は慶応に行け」とか「どこどこに行け」とか「戻って来い」とか、いろいろ言われるんですが、すごく凛としていて。「自分はこれをつくる、鉄をやるんだ」と。だから自分で東大行って、そのあとマサチューセッツに留学行って。当時としてはすごい経歴ですよね。帰ってきて、阪神特殊製鋼っていう鉄鋼会社をつくったんです。


そこに万俵鉄平は、お父さんにすごく嫌がらせを受けるんですよ。お父さんも頭取っていう立場を使ってがんがんいじめるし、政治も使っていじめるしみたいな。


それでも凛と強く、自分は鉄のため、日本のため、従業員のために働くと。本当に素敵な社長の役ですね。凛々しく真っ直ぐ社会に向かって、従業員を大事にして。自分も経営者としてこうありたいなぁと思いました。


―その作品から何を得ましたか?


私は就職活動がリーマンショックと重なって厳しかったんですが、それで悩んでるときに見直したり、あとはビジネススクールに通っていて経営者像をいろいろ考えていたときに見直したりしてました。


なかでもすごく好きなシーンがあって、すごくエリートなんですよ、鉄平って。ただ会社は鉄鋼なので、やっぱりブルーカラーの人たちが多いんですよね。そこで現場の人たちと鉄平が一緒に飯を食うシーンがあって、そこには鉄平の弟も一緒に来ていて。


鉄平はすごく人徳があるので、みんなが「社長、社長」みたいに慕ってるんです。がやがや言ってるなか、何でも言えるし遊べるし、何やかんや面白くできる。弟がそれを見て、「お兄ちゃんは才能があるしすごいねぇ」みたいなシーンがあるんですね。それが好きです。


あんなエリートで育ちもいい。本当は阪神銀行なんか行けば、もっともっと裕福な家庭を築けたし安定していたはずだけど、それでも自分で起業して。自分を信じてくれるメンバーと一緒に飯食って、っていうのがすごく素敵だなと思ったんです。


自分もこういう人にならなきゃなって。ここまでいろんな人とフラットに話せるし、真っ直ぐビジネスをやっているから尊敬もされるし、凛としている。憧れかもしれないですね。


だから自分もオープンでありたいとは思いますね。すぐ相談できる上司でありたいし、不機嫌で話しにくいなとか思われるのは嫌だなと。あの人に話したら、いつでも相談に乗ってくれるし、何か回答くれるしみたいな。あの人だったら安心して仕事できるなぁと思われたい。やっぱりそれってコミュニケーションの密度だと思うし、そこは経営者として大事にしてますね。


ありがとうございました。


▼乾文良の生き方がここに
『人生の一歩は短く、ロマンは長い ― 全ては未来の患者と家族のために』