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私のきっかけ ― 『アカギ 闇に降り立った天才』著:福本伸行

社会に思いをもって行動するイノベーターたちは、その半生の中でどのような作品(書籍・音楽・映像など)と出会い、心動かされてきたのでしょうか。本シリーズでは、社会に向かって生きる方々にお話を伺い、それぞれの人生の“きっかけ”となった作品をご紹介していきます。



… 今回作品をご紹介いただいたイノベーター 

株式会社アシロ 中山博登

代表取締役社長

1983年生まれ。京都府出身。大学卒業後、株式会社ワークポートへ新卒1期生として入社。営業職として従事したのち、株式会社幕末(現 イシン株式会社)を経て、2009年11月に株式会社アシロを設立した。リーガルメディア関連事業、HR事業、保険事業などを展開し、2021年7月に東証マザーズ(現 グロース)上場を果たす。

https://asiro.co.jp/





     人生のきっかけ    
 『アカギ 闇に降り立った天才』著:福本伸行

 こんな人に読んでほしい 
 幅広くどんな方にも

 こんな風に読んでほしい 
 もっと馬鹿になれると思いながら

『賭博黙示録カイジ』や『銀と金』、『天 天和通りの快男児』などの名作をいくつも世に送り出してきた福本伸行作品のなかでも、ひときわ異彩を放つキャラクターがいる。「悪魔」とも称される伝説の雀士・赤木しげるだ。特筆すべきは、赤木しげるが独特の死生観を持っていることだろう。人並外れた度胸と強運を持ち、自らの生死に執着しない。常人離れしたその生き様に影響を受けた読者は数知れない。株式会社アシロを創業した中山氏もその一人だったという。麻雀・ギャンブルを題材として人間の内面や闇に迫る心理描写、心を刺すような数多くの名言の数々は、レールを外れあるがままに生きる人生を教えてくれる。



作品の紹介

きっかけとなった作品はありますか?


僕は圧倒的に福本伸行という作家さんの漫画を全巻読むことがおすすめです。そしたら人生が変わると思います。特に、『アカギ』という漫画の主人公である赤木しげるに影響を受けました。


もともと赤木しげるは『天』という漫画の登場人物の一人で、そのスピンオフが『アカギ』という作品です。『天』の最後に赤木はアルツハイマー病にかかってしまい、記憶が失われていくんですよね。赤木は「自分の記憶がない赤木しげるは、赤木しげるじゃないと思う。だから赤木しげるのままで死にたいんだ」と言って、自殺しようとするんです。


そこへ赤木とこれまで戦ってきた数々の敵方が全員集まって、赤木しげるに勝てば自殺を止めることができるというギャンブルを行うのですが、そこで赤木から一人ひとりに対して、名言が入るんですよ。お前はこういうやつだ、だからもっとこうしたら生きられるみたいな人生のアドバイスのようなことが書かれていて、それが全部沁みるんです。


人生の思考の変化

その作品との出会いは?


福本伸行さんの作品に出会ったのは、予備校時代の友人がきっかけです。当時友人が持ってきていた漫画を読んで、「こんなに面白い漫画があるのか」とはまりました。


なかでも僕がすごく印象に残っている話があって。原田というアカギの敵がいるのですが、のちに関西最大の暴力団組長になっていて、そいつが赤木の自殺を止めに来るんです。でも、赤木はいきなり「お前はヤクザの親分になって、偉くなったんだ」と「でも、なんだか生きづらそうだな」と言うんです。


要するに、人が成功をあまりに積み上げすぎると雁字搦めになって、その成功の箱の中でしか生きられなくなっていく。だから、適度に崩していくことが大事だということですね。人間が人間として生きる上で、福本伸行シリーズからはもう強烈に学ぶことしかないです。


あと、彼の作品はお金が主題になっているのですが、実はそこまでお金に執着しないんですよね。カイジも結局あれだけお金のためにギャンブルをやっていたのに、最後は一緒に戦った仲間に裏切られてお金を奪われてしまうんです。お金を中心に描いているけれど、お金は中心にないという福本伸行らしさのようなものもかっこよかったりして。僕は福本伸行さんの作品は全巻読んでいます。


作品が影響を与えた行動

その作品から何を得ましたか?


福本伸行シリーズに限らないのですが、知識って点だと思っていて。スティーブ・ジョブズも「点と点は繋がる」と話している有名なスピーチがありますが、知識が大量にあると線になっていく。ここからは僕のイメージですが、その線がくっついて面になるんですよね。これがある程度詳しい知識と呼べるレベルであり、面ができて初めて人に深さが出はじめると思うんです。


要するに人としての深さ、人間としての深さを出そうとすると大量に点が必要で。これは本を読むだけでなく、出会った人と会話をして何かを認識するということも重要だと思います。僕もサラリーマン時代、尋常じゃないほど本を読んでいるんですよ。だから、1冊おすすめしてくれと言われると難しいのですが、1冊の本に導かれるというより5万冊ぐらい読んだ方がいい、そしたら人間が変わると思います。


最近は社員にも毎日0.1%自分を変えつづけろ、そのために5分だけでも自分の時間を取り戻せと言っていて。みんなただ時間を潰すために動画配信サービスやSNSに時間を費やすことが多いと思うのですが、あれって時間を奪われている状態なんですよ。点を作るために、毎日5分だけでも努力を懸命に続けること。それからレールを外れるリスクは実は存在しないという浮世的価値観を持つことができれば、おそらく世の中で多くの人が成功と呼ぶものは、ほとんどの人がつかめると思っています。




中山博登の生き方がここに


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