Focus On 小原一樹 プロソーシャルな距離/思考法編

変容時代、突破のためのシンプルなマインドセット



在宅勤務の浸透が変えたのは働き方だけではない。人々の食生活にも変化をもたらしている。外食の機会などが減り、一日三食を家で用意しなければならない状況下では、ただでさえ食材や献立選びに労力がかかる上、栄養バランスまで考慮するならなおさらだ。

「食べたいものを食べて健康になる」社会を創るシルタス株式会社は、スーパーの購買データと連携し、栄養管理を自動化するアプリ「SIRU+(シルタス)」を展開する。個人の食の嗜好性と健康意識を両立させる同社は、2018年「経済産業省主催 電子レシートアプリコンテスト」最優秀賞など、これまで複数の受賞歴を誇るヘルステックベンチャー企業である。

本連載では、シルタスCEOである小原一樹に聞く、生活者視点での「頑張らない健康管理術(前編)」、小売り流通視点で考える「次世代スーパーの姿(後編)」。さらに、変容する時代を突破していく「思考法」を紹介していく。



 シリーズ「プロソーシャルな距離」について 
世界が今、こういった状況だからこそ、「知恵」を繋げたい。
私たちFocus Onは、社会のために生きる方々の人生を辿って物語と変え、世の中に発信して参りました。そんな私たちだからこそ、今届けられるものを届けたいと考えております。社会に向けて生きる方の知恵の発信により、不透明さを乗り越えるための「知」の繋がりをつくりたい。それがどこかの、どなたかにとっての次へのヒントになれば。そう考え、本シリーズを企画し、取材のご協力をいただいております。






未曽有の社会変化を前にして、人々の生活様式が変化するスピードも加速しつつある。同時に、多くの企業もまた変革を迫られている。かつての常識は通用しなくなり、描いていた道筋を修正するには不安と混乱もつきまとう。そのような時代に求められる思考法とは何だろうか。







不透明な時代突破の思考法


01  外的要因はどの時代にもある

02  変化を楽しめ

03  本質をシンプルに考える

04  新しい方法を考える




01 外的要因はどの時代にもある


明かりの消えた飲食店や、固く門を閉ざした公共施設、そして閑散とした大都会。画面越しに伝わる世界の光景は、当たり前だった経済活動が、現実には変化する基盤の上に成り立つものだったことを伝えていた。テクノロジーが私たちの暮らしを塗り替えるよりも早く、それは強制的な行動変容を伴うものだった。


歴史の節目とも思えるような時代変化を前にしてもなお、進みつづけるために必要な思考のスタンスとは何だろうか。


 非突破の思考01 
今の変化に目を向けてしまう。

 突破の思考01 
変化はいつでもあると思うこと。


「基本的に自分じゃどうにもならない外的要因は、コロナじゃなくても必ず起きるものなので。それをどう乗り越えるかを考えることにこそ、意味があるじゃないですか。今回は災害的に来ちゃっていますけど、そのハードルをどう乗り越えるかの突破口は必ずあると思うし、方法は意地でも見つければいいと思っています」


コントロールできない外的要因や経済状況の変化は、特別な苦難であるように思える。


しかし、それらの変化はいつの時代でも起きうることである。


そう思えば、目の前の危機的状況も、いかに柔軟に対処できるかという主体的な問題に変わっていく。


変化を変化があるという前提でとらえてみる。そうして問題を見つめていくと、思考の展開が訪れることもあるかもしれない。それは「意地でも」見つけるスタンスが導くのだろう。






02 変化を楽しめ


「(もちろん大変な思いをされている方もいますが、)僕はこの事態を全然つらいとは思っていなくて、むしろ楽しいと思っているんです。社内では不屈の精神と言っているんですが、負けだと思わなければ負けはないので。この状況でいかに勝つかを楽しんだらいいのではないかと思います」


 非突破の思考02 
変化を苦しみと捉える。

 突破の思考02 
如何に勝つかを楽しむ。


苦難を苦難と思わず、むしろ楽しめるほどの心。不測の事態にも臆せず、突破する方法を見出していく。そんな不屈の精神が、世にない新しい価値を生み出していく。


まさにスタートアップ企業や変革を望む組織にとって不可欠なものとなるだろう。変化を楽しむほどの不屈の精神さえあれば、人はどんな壁にぶつかろうが突破していける(シルタスでは、その点を人材採用時にも大いに重視するという)


「予定調和ってつまらないじゃないですか。難しいことをやるのは楽しいんです」


困難は楽しい。既存の仕組みを再考し、自ら新しい価値を社会に示す存在となるために必要な基本思考でありそうだ。





03 本質をシンプルに考える


変化に直面したときのマインドセットについて、「いつの時代もあると思う」「楽しむ」に続いて小原は語る。


「一つは、クリアしたいと思うことを、いかにシンプルに考えられているかじゃないでしょうか。ここさえ残っていればクリアしたことになるよねという、本質をシンプルに考えられていると突破しやすいですよね」


 非突破の思考03 
本質を複雑化してしまう。

 突破の思考03 
問題や目標の本質をシンプルに考える。


目の前に重く横たわる現実的問題。予想もしない変化の中にあっては物事を複雑に捉えてしまう可能性に小原は言及する。


その問題の本質は何だろうかと、自分へ問いかけてみる。何があっても見失ってはいけないと自分が決めたもの。それは、変化の中にあってこそシンプルに考えるべきなのだ。未来から考えるその答えはきっと、今、舵を切るべき方向を明確にしてくれる。





04 新しい方法を考える


最後に、状況打破のマインドセットについての思考の注意点を伺った。


「手段の部分も、過去とか前例ではこうクリアしたからとかではなく、新しく方法を考えること、フレームワークに固まり過ぎないことが大事だと思います」


 非突破の思考04 
過去の成功例やフレームワークに頼る。

 突破の思考04 
新しい方法が成功確率を上げる。


過去の成功体験や、自信の拠り所となってきたもの、あるいは世の中で正解とされる考え方には信頼感がある。しかし、変化の振れ幅が大きくなった時代では、それが通用することも少なくなるだろう。


むしろただでさえ成功確率の低いと思われるような大きな目標に挑むなら、誰もが予想できるような方法を選ぶ方が、達成確率は低くなるのかもしれないと小原は語る。


常識や定説を疑い、超えていく。研ぎ澄まされた独創的な発想が、未来の可能性を広げる鍵になるのだ。





2020.06.30

文・Focus On編集部




小原 一樹

シルタス株式会社 代表取締役

食べることも飲むことも大好き。学生時代の世界一周の旅をきっかけに「食の適材適所」に関心を持つ。特殊冷凍技術を保有する企業に入社し、生産から販売まで様々な食品流通の現場をサポート。食の「楽しみ」と「健康」を両立させるべく、シルタス(旧アドウェル)を設立。

https://corp.sirutasu.com/