Focus On
中山博登
株式会社アシロ  
代表取締役社長
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or社会に思いをもって行動するイノベーターたちは、その半生の中でどのような作品(書籍・音楽・映像など)と出会い、心動かされてきたのでしょうか。本シリーズでは、社会に向かって生きる方々にお話を伺い、それぞれの人生の“きっかけ”となった作品をご紹介していきます。
… 今回作品をご紹介いただいたイノベーター …
株式会社ボーダレス・ジャパン 小松航大
「For Good」事業代表
1998年生まれ。香川県出身。慶應義塾大学総合政策学部卒業。WASSHAでのインターンを経て、2022年に「ソーシャルビジネスしかやらない会社」株式会社ボーダレス・ジャパンに参画。ソーシャルグッドなクラウドファンディングサービス「For Good」の立ち上げに携わり、2023年より事業代表に就任。中東・アフリカ・南米を中心に26カ国を旅した現役バックパッカー。
https://www.borderless-japan.com/
『ピュリツァー賞 受賞写真 全記録』編著:ハル・ビュエル 今、世界で起こっていることを知りたい人 気軽に |
写真は、ときに言葉よりも雄弁に語ることがある。1917年に米国で創設され、ジャーナリズムの権威として知られるピュリツァー賞。その受賞作品は、世界の矛盾や暴力、希望や祈りなど、人類が生きた軌跡を克明に映し出してきた。写真部門が創設された1942年から2015年の最新受賞作品までを収録した本書には、写真家が切り取った一瞬一瞬に加え、背景にある社会問題の解説も添えられている。 それらは単なる時代の記録にとどまらず、「事実と向き合うこと」の覚悟を見る者に突きつける。有名な「ハゲワシと少女」の写真から、貧困にあえぐ世界への意識が心に根付いたと語る小松氏。どんな社会をより良くする行動にも、きっかけがある。本書は間違いなくその一つとなり得るだろう。 |
ピュリツァー賞を受賞した「ハゲワシと少女」の写真ですね。今にも餓死しそうな様子でうずくまる少女と、少女を狙うハゲワシの姿を捉えた作品で、おそらく多くの人が目にしたことがある一枚だと思います。
「ハゲワシと少女」も掲載されているこの本は歴代の受賞作品がまとめられた図鑑のようなものなのですが、作品ごとの撮影背景や、写し出された社会問題自体の背景などもしっかり書かれているので、ものすごく学びになります。
最初に「ハゲワシと少女」と出会ったのは、おそらく中学1年生の時の国語の教科書ですね。こんな世界もあるんだと、自分と大して年齢も変わらない人たちでこんな経験をしている人がいるんだということが本当に衝撃でした。作品としての衝撃もそうですが、少女を助けることよりも撮影を優先したカメラマンへの批判や巻き起こった論争についても、自分だったらどうしただろうと道徳観を揺さぶられるものがありました。
ただ、その瞬間の衝撃は自分の中に残っていたものの、ずっと考えつづけながら生きていたかというと全然そんなことはなく忘れていたと思うんですよ。それこそ大学生になって将来の道を真剣に考えはじめた時に、改めて自分のバックボーンを振り返って、大きな衝撃を受けた作品として思い出したんです。
大学1年生の時は自分の人生を何に使うべきなのかと考えて、ずっとモヤモヤしていたんです。「ハゲワシと少女」を思い出したことがきっかけで、それまでも自分の中にぼんやり貧困問題への関心があったことを自覚して。じゃあ、実際に自分の目で見てみようと思い立ち、スラム街を巡る世界一周の旅に出たんです。その旅の経験が、現在事業で掲げる「社会課題解決の民主化」というミッションにも繋がっていると思いますね。
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石坂浩之
株式会社VISION  
代表取締役