Focus On
江口亮介
株式会社TERASS  
代表取締役CEO
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or社会に思いをもって行動するイノベーターたちは、その半生の中でどのような作品(書籍・音楽・映像など)と出会い、心動かされてきたのでしょうか。本シリーズでは、社会に向かって生きる方々にお話を伺い、それぞれの人生の“きっかけ”となった作品をご紹介していきます。
… 今回作品をご紹介いただいたイノベーター …
株式会社AZOO 横田裕子
代表取締役
1985年生まれ。兵庫県出身。京都大学工学部卒業後、株式会社毎日放送へ入社。のち、インドネシア政府のダルマシスワ奨学生に選定され、現地の大学に留学。帰国後は環境省やJETRO、JICAで日本の中小企業の海外展開支援、海外需要の取り込みと地域経済活性化などに従事。イラン、クウェート、マレーシア、フィリピン、インドネシア、タイ、インド、オーストラリア政府および国連環境計画(年次総会)との渉外経験やWebマーケティング・コンサルティングなどの経験を積む。2020年1月、株式会社AZOOを設立。2021年、第9回京都女性起業家賞(アントレプレナー賞)京都府知事賞最優秀賞を受賞。
『夜と霧』著:ヴィクトール・E・フランクル 迷いがある人 自分を見つめ直しながら |
第二次世界大戦中、ナチス政権の手により奪われたユダヤ人の命は600万人にものぼるという。まさに人類の負の歴史として語り継がれるその出来事の象徴として、アウシュヴィッツ強制収容所は今もその地に佇んでいる。『夜と霧』は、ユダヤ人である著者が当事者としてそこで生き、目で見て聞き、感じたものを綴った体験記である。 しかし、本書が伝えようとするものは、強制労働や人体実験、虐殺が繰り返された日常の残虐性や悲惨さではない。むしろ極限の絶望の中にあっても光差す希望があるとすれば、それがどんなものであるかについてが描かれている。悩み多き思春期に本書と出会ったという横田氏。悩みの大小にかかわらず道をさまよう全ての人に、生きる意味に立ち返ることの重要性を説く本として、これ以上に説得力のあるものはないだろう。 |
やはり1番は『夜と霧』という本で、結構人生観が変わったと思っていますね。著者はアウシュヴィッツ強制収容所に囚われたユダヤ人で心理学者の方であり、内容は簡単に言うとそこでの生活の記述となっています。
ある女の子は病院の中で亡くなっていくのですが、亡くなる瞬間に「これはきっと神様から授かった私の命題だったんだ」と言って、幸せに死んでいく。一方で、希望を失くした人はただそのまま息絶えていく。人は生きる意味が無くなると希望を持てなくなり、行き詰まっていくという部分には、すごく影響を受けました。
あとは、すごく劣悪な環境でも、強制労働を行ったあとに朝日が昇る瞬間を見て涙を流すほど感動したり、人生の豊かさというものはどこにでもあるんだということが描かれています。
手に取ったきっかけは覚えていませんが、幼少期から本は好きでずっと読んでいて、すごく印象に残っている本の一つですね。思春期でいろいろなことに悩んでいた中高生の時に読んですごく感銘を受けて、どんな苦しい環境でもそこに幸せを見出せるんだなと思わされました。
のちの人生でも、なぜ自分は生きるのかとか、人生のミッションやビジョンの軸がずれてしまうと選択を誤るんだろうなと思っていて。軸がずれた状態でお金だけ儲けても幸せにはなれないかもしれないし、一方で何か人生の目標があるならお金を儲けるという手段を通じて実現できることがあるかもしれない。自分自身がそれをやるミッションや意義のようなものの有無が推進力を作っていくし、事業をやる上でも重要だなと感じてきました。
やはり価値観が変わりましたね。それまでは外部からの評価みたいなものが自分にとってすごく大事だったのですが、外部評価って自分はどうあれば幸せかというミッションやビジョンとは関係のない評価軸であって、それにとらわれるということは自分の軸をずらすことになる。この本を読んで以降、自分が何をしたいのか、何を求めているのかという軸に重きを置くように切り替わっていったと思います。
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