Focus On
林大貴
株式会社ココロミル  
代表取締役CEO
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or社会に思いをもって行動するイノベーターたちは、その半生の中でどのような作品(書籍・音楽・映像など)と出会い、心動かされてきたのでしょうか。本シリーズでは、社会に向かって生きる方々にお話を伺い、それぞれの人生の“きっかけ”となった作品をご紹介していきます。
… 今回作品をご紹介いただいたイノベーター …
orosy株式会社 野口寛士
代表取締役
1991年生まれ。関西学院大学商学部卒。大学在学中、映画「ソーシャルネットワーク」に感銘を受け、Twitterでエンジニアを募集しアプリ開発のチームを立ち上げ、アプリ開発を始める。チームメンバーと米シリコンバレーを訪問。現地で日本オラクルや日本セールスフォースを立ち上げたベンチャーキャピタルに出会い、交渉の末彼らのオフィスの一画で1ヶ月間のテント生活をしながら、アプリのプレゼンと開発を行う。その後日米を含む投資家から1.2億円の投資を受け学生起業、日本と米国を中心に活動。2018年3月同社退任、2018年5月株式会社スペースエンジン(現orosy株式会社)を設立し、D2Cブランドを中心とした卸・仕入サービス「orosy」を運営。
『ソーシャル・ネットワーク』監督:デヴィッド・フィンチャー 挑戦を踏みとどまっている人 純粋にエンタメとして楽しんで |
いまや全世界で29億人が利用するSNSを生み、時代の寵児ともてはやされた一人の大学生がいた。言わずと知れたFacebook(現 Meta)の創業者、マーク・ザッカーバーグである。彼の半生を題材とした映画『ソーシャル・ネットワーク』は、どこにでもいそうな普通の若者がインターネットで大成功し、訴訟など現実的問題に巻き込まれつつ、社会にとてつもないインパクトを与えていく姿が描かれる。 なんとなく人とは違う自分でいたい、「普通」の枠に収まりたくない。けれど、何一つ自分の手で成し遂げたことはない。そんな葛藤を抱える多くの若者の共感を呼び、そのエネルギーを起業へと駆り立てる。公開当時大学生だったという野口氏も、作中のザッカーバーグの生き様に心揺さぶられ、自分でアプリを作りはじめるという挑戦の入り口になったという。 |
おそらく僕たちの世代の起業家の多くはこの映画に影響を受けたのではないでしょうか、僕は完全に映画『ソーシャル・ネットワーク』に影響を受けました。
やっぱり同世代が集まって、ああでもないこうでもないと言い合いながら新しいものを作って、それで世界が変わっていく。映画のワンシーンに「ボスニアに道路はないのに、Facebookはある」というセリフがあるのですが、何かこう自分たちの手で世界を変えられる、しかもインターネットを使えば大きく変えられるし、いろいろな人に影響を与えられるんだという部分が印象的で。僕がITやインターネットがすごく好きだと思えた一番のポイントでしたね。
2011年1月の公開時に映画館で観ました。友だちと普段通り遊んでいて、普段は全くしないのですが、たまたまスクラッチくじをやったら1万円とかが当たり、じゃあ映画にでも行こうかと、ふらっと観に行った映画です(笑)。
僕が大学に入学したのが2010年4月で、この映画を観たタイミングはちょうど先輩の学生チームに入れてもらいアプリを作ったあとに、何か自分でもやりたいなと思っていたくらいの頃でした。映画を観て何かが変化したというよりは、主人公であるマーク・ザッカーバーグの姿から「これでいいんだ」と自信が持てたという部分が大きかったと思います。
たとえば、当初ザッカーバーグはサーバー代が支払えないからと、ハーバード大学のサーバーを使ってアプリを提供してしまうのですが、(そこまで極端ではないにせよ)やりたいことがあればやってみていいし、自分に制限をかけずに一直線でいいんだと確信が持てたという感じです。
あとは、それを応援してくれる世界があるんだということですね。実際そのあと自分も米国に行ってみて、ベンチャーキャピタルやシリコンバレーの世界に触れて最高だなと思えた、そのきっかけになった映画でした。
本とか映画に触れて行動を変えようと思うことはあまりなく、やってきたこと、やっていることへの不安を和らげたり、より自信を強めたりするのに使う方ですね。「これでいいんだろうか?」とか「やり方は合っているんだろうか?」と不安はもちろんあるなかで、これでいいんだと自分を肯定してもらえた映画と出会ったという感じです。
それで言うともう1本、起業家やモノづくりをする方には是非見ていただきたいと思った映画が最近あって、『映画大好きポンポさん』というアニメがあるのですが、あれは最高でした。主人公は誰とも遊ばずに一人で映画を作っていて、いろいろな生活を手放して最高のマスターピースを作るという話になっていて。振り返ると僕も尖って友だちのコミュニティに入らずに、ずっと一人で深夜パソコンの前でサービスを作ったりしていた、その孤独の時間はやっぱり必要だったんだと思えるものでした。
入り口は『ソーシャル・ネットワーク』で、そこから起業して10年分の背中を押してくれて、あなたの10年は無駄じゃなかったと救ってもらえたのが『映画大好きポンポさん』だったかなと思います。
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