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私のきっかけ ― 『小説 上杉鷹山』著:童門冬二

社会に思いをもって行動するイノベーターたちは、その半生のなかでどのような作品(書籍・音楽・映像など)と出会い、心動かされてきたのでしょうか。本シリーズでは、社会に向かって生きる方々にお話を伺い、それぞれの人生の“きっかけ”をご紹介していきます。



… 今回きっかけをご紹介いただいたイノベーター 

株式会社Beer and Tech 森田憲久

代表取締役CEO

1981年生まれ。埼玉県出身。明治大学卒業後、設立数年のインターネット広告代理店に入社。営業畑で一貫してキャリアを積みながら、採用、システム要件定義、メディア部門のマネージャー等様々な部門を兼務した後、営業統括に就任。上場企業並の業績になるまで成長を牽引。グロービス経営大学院卒業後、同社を退職し、株式会社Beer and Techを創業。

https://www.beerandtech.com/





     人生のきっかけ    
 『小説 上杉鷹山(うえすぎ ようざん)』著:童門冬二

 こんな人に読んでほしい 
 変革をリードする経営者、あるいは小規模企業の社員の方

 こんな風に読んでほしい 
 目の前の会社を俯瞰し、重ねながら

江戸時代の藩主・上杉鷹山は、「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」という言葉を遺したことで知られる。一説では、ジョン・F・ケネディ元米大統領が「最も尊敬する日本人」に挙げたという。本書は、そんな偉人の生涯を描いた一冊だ。短期の合理性ではなく、長期で組織を導くための信念。時代を超えて、経営にも通じる普遍的な本質が、そこには描かれているようだ。



きっかけの紹介

きっかけとなったものはありますか?

『小説 上杉鷹山(ようざん)』は、今の僕のリーダーシップの在り方に影響を与えている本だと思います。どんな内容かというと、舞台は江戸時代に財政破綻した米沢藩で、そこに当時17、8歳ぐらいで養子に入ってきたのが、のちの上杉鷹山公なんです。亡くなるまでに何度か改名していて、当時は上杉治憲(はるのり)と名乗っていたはずですが、この人が当主として破綻状態の藩を立て直していくんですよね。


これが本当に現代企業のターンアラウンド(事業再生・経営改革)とよく似ていて。あまりにもお金がないので、いっそ幕府に藩を返上したほうがいいんじゃないか、という声すら出てくるんです。会社で言えば、「一度潰して、新会社として一からやり直したほうがいいんじゃないですか」みたいな話がなされるなかで、長期間にわたるプロジェクトとして藩政改革を進めていくんです。


当然正論を言われることもあるし、改革に反対する人たちから心ない言葉を浴びせられることもある。ただ、それでも彼は率先垂範で、自らプロジェクトチームを組んで改革案を作り、コストを切り詰め一つひとつ手を入れていくんです。


人生の思考の変化

そのきっかけとの出会いは?


たしかこれを読んだのは、23、4歳くらいのときだったと思います。新卒で入った会社の課題図書だったんですよね。まず読んで学びになったのは、共感した部分でもありますが、絶望的な環境でも「なんとかできる」という可能性を見出すスタイルです。起業家の仕事って、基本的にそれだと思っていて。誰も可能性を見出していないところに、可能性を提示していく。彼はまさにそれをやってきた人なんですよね。


なおかつ、それをやるときには愛と信頼をベースに藩政改革を行い、領民のための政治を進めていく。すごくまっとうなことを言っていても、結構激しく批判されたりするんですよ。これは企業経営をしていても思うことですが、人からの信頼を勝ち取るためには、長期的に正しい行いを続けていかなければいけない。でも、短期で成果が出ていないうちは、みんなが「いいね」と言ってくれるわけではないんですよね。


それに対して彼は怒ったり、権謀術数を巡らせて重役を退けていくようなことはせず、きちんと相手のことを思いやり、信じて、正しい行いを一つひとつ積み重ねていく。そういうスタイルで改革を進めていくんです。僕自身、会社経営をしていくなかで、よく「森田さん、怒らないですよね」と言われるのですが、それはおそらくこの本にかなり影響を受けていて。かれこれ20回くらいは読んでいると思います。


きっかけが影響を与えた行動

そのきっかけから何を得ましたか?


苦しいときでも人の正しい心を信じて経営するというところは、かなり影響を受けていますね。短期的には、反発や意見の相違が起きることはあるものですが、鷹山はしっかり丁寧に向き合っていく。それが、最終的に多くの人を巻き込んでいく上で大事なんだということが、この本を読んでいるとよく分かります。


変革をリードしながらも、人に対する信頼と愛は崩さず、長期間覚悟を持って一貫して取り組んでいく。そんなリーダーシップを大切にしています。




森田憲久の生き方がここに


花のECから空間緑化まで、体験を設計する
― 「心の豊かさ」という価値を基準に





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