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私のきっかけ

社会に思いをもって行動するイノベーターたちは、その半生の中でどのような作品(書籍・音楽・映像など)と出会い、心動かされてきたのでしょうか。本シリーズでは、社会に向かって生きる方々にお話を伺い、それぞれの人生の“きっかけ”となった作品をご紹介していきます。


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リンカーズ株式会社 前田佳宏

代表取締役

1977年生まれ。福井県出身。大阪大学工学部卒業後、京セラ株式会社にて海外営業に従事。その後、株式会社野村総合研究所にて製造業を中心とした、事業戦略立案、欧米・アジア企業のM&A戦略立案・実行支援など数多くのプロジェクトに参画。メーカー同士のマッチングに課題を見出し、2012年にDistty株式会社(現リンカーズ株式会社)を創業。

https://www.linkers-net.co.jp/




―きっかけとなった作品はありますか?



大学2回生の終わりから3回生のころ、稲盛和夫さんの『成功への情熱(PHP研究所)』を読んで、これはすごいなと思ったんです。すべてマインドだと思ったんですよ。人生にはやっぱり哲学がないとだめだと。それ以来何回も読み返していて、いまでも私のオフィスの机の上に置いているんです。ほかにも稲盛さんの本は『生き方』などいろいろ読んでいますが、稲盛さんは表現が違っても、伝えたい思いはどれも一緒なんですよね。言いたいことは変わらない、そこはやっぱり彼の強みなんですよね。そのなかで『成功への情熱』が一番まとまっていて分かりやすかったのと、やっぱり一番最初に読んだものだったので、すごく心に刺さったんです。


―その作品との出会いは?またその出会いによって、どんなきっかけが生まれましたか?


周囲の人に薦められたんだと思いますね。(幼少期から定期的に父親から本を薦められていたという。)京セラっていうすごい成長企業があって、その創業者の稲盛さんっていう人がすごいと聞いたんですよ。おそらく父とそういう話をしていたのかと思うんですが、「読んでみたらいいよ」と言われて、手に取ってみようかと。


読み進めるうちに、いろんな人生経験を積んでいくなかで、やっぱり立ち返るべきポリシーがあるべきだと思ったんです。稲盛さんのすべてのフィロソフィーというのは、たぶんポリシーになるんですよね。ポリシーがあると生きていく上で立ち返れるので、すべてが良い方向に必ず行くと。それをポリシーにできる会社、自分の潜在意識にまで落とし込める会社というのは、やっぱり京セラだと思って、それが新卒で京セラへ入社するきっかけになりました。


当時は社長になりたいと思っていたわけではなく、社会人になってビジネスマンとして売上を上げるとか、そんな漠然とした成功しか描いていなかったんですが、その成功のための手段としてポリシーがあるべきだろうと考えていました


―その作品から何を得ましたか?


稲盛さんの考え方は、当たり前のことを当たり前にやるということなんですよ。すべてが当たり前なんですよね。一切バイアスがかかっていない。「熱意×能力×考え方」なんて、頑張れば結果が良くなるというのは、人間として当たり前の考え方で。それを見える化して、フレームワークにしているという点が、ほかにはあまり無いと思うんです。


当時家庭教師のトライで営業のアルバイトをしていたのですが、稲盛さんの「人生・仕事の結果=熱意×能力×考え方」というフレームワークは、勉強にも応用できると思って。それを営業トークに応用することで、相当高い成約率を出すことができたので、すごく自信がついたんですよね。


父も基本を重視する人だったのですが、当たり前のことを当たり前にするのって簡単じゃなくて、やっぱり見える化すること、フレームワークにして誰もが使えるものにすることが大切なのだと実感できました。


―ありがとうございました。


▼前田佳宏の生き方がここに
『人生で大切なことはシンプルだ―日本の産業構造変革のためのフレームワーク』


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