Focus On
荻野明仁
株式会社エーアイスクエア  
取締役
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or社会に思いをもって行動するイノベーターたちは、その半生の中でどのような作品(書籍・音楽・映像など)と出会い、心動かされてきたのでしょうか。本シリーズでは、社会に向かって生きる方々にお話を伺い、それぞれの人生の“きっかけ”となった作品をご紹介していきます。
… 今回作品をご紹介いただいたイノベーター …

株式会社ランプ 河野匠
代表取締役CEO
1992年生まれ。滋賀県出身。大学在学中にECサイトの立ち上げをきっかけに起業。その後、株式会社ランプを設立し、代表取締役に就任。WEBマーケティングとサイト制作を200社以上手がける。2020年、飲食店向けテイクアウトの注文受付・管理SaaS「テイクイーツ」を立ち上げる。
『起業家の勇気 USEN宇野康秀とベンチャーの興亡』著:児玉博 起業を志している人 自信がなくても前に進むきっかけとして |
| かつて「ヒルズ族の兄貴分」とも呼ばれ、日本を代表する起業家たちやネットベンチャーの興亡とともに生きた人。宇野康秀氏の歩みの根底にあるものは、「大義ある事業に挑む」という信念だ。父の遺した会社を巨額の負債ごと継承し、リーマンショック後の混迷を乗り越えながら、最終的に3社の企業を上場へと導いた。その波乱に満ちた半生は、経営とは利益だけを追うものではなく、社会に何を成すかを問いつづける営みでもあるのだと語りかけてくる。 |

僕が1番好きで影響を受けた経営者は、USENの宇野康秀さんなんですよ。宇野さんの逸話はいろいろ知られていますが、その半生をまとめたものとしては、この本が初めてだと思います。
宇野さんは、もともとインテリジェンス(現 パーソルキャリア)を創業したあと、お父様の会社を継承して社長になられた方です。当初は約800億円もの負債を抱えていましたが、事業を立て直し、U-NEXT HOLDINGSとして上場にまで導いたことなどで知られています。自分の会社もあるなかで、火の車状態の父親の会社を引き継ぐという決断は、そう簡単にできないと思うんです。こんな風に漢気があって、大義ある経営者になりたいと憧れましたね。
この本は出版されてすぐに読んだのですが、それ以前から宇野さんのことは好きでした。宇野さんは「大義」を大事にされている経営者で、経営者が大義を示すからこそ社員やパートナー、株主は安心してついてこられる、大義のない事業は続かないといった話をよくされるんです。僕は、この大義という言葉が好きなんですよね。
僕自身、若い頃は「お金を稼ぎたい」というモチベーションで事業を始めたのですが、今では「良い事業、良い会社をつくりたい」と本気で思っています。その差分は何かというと、大義だと思うんです。
仮に「大義がないけれど、お金は稼ぎやすい事業」と「地域社会や社会全体に意義があるけれど、簡単には儲かりづらい事業」、どちらを取るかと聞かれたら、今の僕は迷わず後者を選びます。大義ある事業をつくりたい、そんな価値観は影響を受けている部分だと思います。
改めて、自分は恵まれた環境で事業活動をさせてもらっている人間だと思いましたし、特に「大義ある事業」に勇気を持って挑戦していくことの大切さを思い返させてくれる本なんですよね。
僕は起業したとき0からのスタートだったので、マイナス800億から始めた宇野さんと比べると、0ですら大きなアドバンテージに思えたというか、ある意味で恵まれているなと感じたんです。自分の選択が間違っているんじゃないかと迷ったときに、勇気を持って前に踏み出す一つのきっかけになりました。
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