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私のきっかけ ― 『One Mic』ZORN

社会に思いをもって行動するイノベーターたちは、その半生の中でどのような作品(書籍・音楽・映像など)と出会い、心動かされてきたのでしょうか。本シリーズでは、社会に向かって生きる方々にお話を伺い、それぞれの人生の“きっかけ”となった作品をご紹介していきます。



… 今回作品をご紹介いただいたイノベーター 

Recustomer株式会社 柴田康弘

代表取締役CEO

北海道出身。早稲田大学在学中から、UIUXデザイン・グラフィックデザイン・Pythonを中心としたエンジニアリングに取り組み、モバイルアプリやWebシステム開発・実装を手がける。2017年、ANVIE株式会社(現 Recustomer株式会社)を創業。日本のEC化率の低さに課題を感じ、返品文化の違いがボトルネックになっていると気づいたことをきっかけに、2021年に購入後体験プラットフォーム「Recustomer」をリリース。2023年、Forbes 30 Under 30 Asia(Retail & Ecommerce部門)に選出。

https://recustomer.me/





     人生のきっかけ    
 『One Mic feat. KREVA』ZORN

 こんな人に聴いてほしい 
 いろいろな選択肢があるなかで暗中模索する人

 こんな風に聴いてほしい 
 自分の本質に立ち返りながら

人生の酸いも甘いもありのまま歌詞にして、心地よいリズムと韻に乗せながらエンターテイメントにしてしまう。ヒップホップが使う昇華の術は、多くの人を惹きつけてやまない。なかでも強烈に異彩を放つ存在として、柴田氏はZORNというアーティストの名を挙げた。その曲に綴られるメッセージは、無数の選択肢に囲まれながら生きる私たちに、本質に立ち返ることを思い出させてくれるという。



きっかけの紹介

きっかけとなった作品はありますか?


結構最近の作品になるのですが、ZORNがKREVAとコラボした『One Mic』という曲は心に来ましたね。


ZORNというラッパーは、デビュー自体はかなり昔でずっと売れない時代が続いていた人なんです。それが2015年に『My life』という曲がヒットしたことをきっかけに、とんでもない売れ方をして。「洗濯物干すのもHIP HOP」という有名な歌詞があるのですが、「洗濯物を干すという極めて日常的な行為でさえ、楽曲に乗せてHIP HOPにしてやるぜ」ということですね。そういう日常生活をコンセプトにしているラッパーなんですよ。生き様自体がストリートだと思いますね。


人生の思考の変化

その作品との出会いは?


2020年にリリースされているので、出会ったのは受託から自社プロダクトに本格的に切り替える前ですね。


すごく共感しましたし、やっぱりテーマが本質的で。多くのラッパーに共通するメッセージは、「俺は売れないところからやってきて売れたんだぜ、売れて金も車も手に入れたけど何かを失った。結果1番大切なのは愛だった」という構造なんですよ。よくラッパーのミュージックビデオに札束とかきらびやかな様子が描かれますが、あれはあくまで本質(リアル)の対比としてのフェイクを強調している演出なんですよね。なかでもZORNはフェイクが嫌いで、本質というものを突き詰めている。「本質はこれだよね」という主張が一貫していて、そこが魅力だと思います。


僕もそれに共感していて、本質が好きでフェイクが嫌いですね。本質というのは、虚栄心の逆のこと。日本の商習慣で言えば、「ECで返品をしづらくしてお金を稼いでいる」というのもフェイクだという認識で、本当に顧客の幸せを願ってビジネスをしている人が本質だと思います。


作品が影響を与えた行動

その作品から何を得ましたか?


フェイクな人やものと出会ったら、距離を置きますね。あとは、自分も過去にはフェイクなことをやってきたことがあるし、自分にもそういう一面があったからこそ理解できる部分もあって、気づかないうちに自分がフェイクになってしまっていたこともあるんです。それこそ、もしかしたら今もそうなのかもしれない。だから、本質でありたいと思うこと。本質とフェイクという概念を持って、自分を見直しつづけるということなのかもしれないですね。




柴田康弘の生き方がここに


EC・小売の購入後体験を進化させつづける
― 自分たちが誇れる価値を、カルチャーを携えて





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