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私のきっかけ ― 『ストーリーとしての競争戦略』著:楠木建

社会に思いをもって行動するイノベーターたちは、その半生の中でどのような作品(書籍・音楽・映像など)と出会い、心動かされてきたのでしょうか。本シリーズでは、社会に向かって生きる方々にお話を伺い、それぞれの人生の“きっかけ”となった作品をご紹介していきます。



… 今回作品をご紹介いただいたイノベーター 

GeNiE株式会社 齊藤雄一郎

代表取締役社長

大学卒業後、アコム株式会社に新卒入社。支店勤務を経て経営企画部へ。以降、企画部門を中心に全社戦略の立案やマーケティング業務に従事。2016年、フィンテックが日本で注目され始めた頃、テクノロジー活用を推進すべく、イノベーション企画室を立ち上げ。デジタル領域におけるサービス企画・立案、新規事業開発などに取り組む。マーケティング部門の責任者を経て、2022年4月、アコムの社内起業家としてGeNiE株式会社を設立。

https://genie-ml.com/





     人生のきっかけ    
 『ストーリーとしての競争戦略』著:楠木建

 こんな人に読んでほしい 
 上司や経営者に「理解されない」と感じている人

 こんな風に読んでほしい 
 「正しさ」だけにとらわれない心で

成功を収めた企業戦略の共通項を分かりやすく言語化し、体系化した『ストーリーとしての競争戦略』は、30万部を突破した本格経営書であり、ベストセラーとなった一冊だ。著者の一橋大学教授・楠木建氏いわく、MBAで教えるような「正しい戦略」ではなく、思わず人に話したくなるような面白いストーリーにこそ、戦略の神髄はあるという。その教えは、齊藤氏の経営の原点になっている。



きっかけの紹介

きっかけとなった作品はありますか?

『ストーリーとしての競争戦略』は、僕が経営に携わりたいと思ったきっかけの本です。この本のメッセージをまとめると、「部分的に見ると非合理でも、全体で見ると最適化されている戦略こそが最強である」ということです。


部分も全体も最適な戦略は、誰でも考えることができ、学問として教えられるけれど、真似されやすく差別化しづらい。そうではなく、一見「そんなバカな」と思われるものの、あとから「なるほど」と思える。「バカなる」という言葉があるのですが、そんな戦略をいかに作れるかが勝負だと、この本は教えてくれています。


人生の思考の変化

そのきっかけとの出会いは?


25歳で経営企画部に異動した際、MBAで学ぶような内容を一通り勉強しながら、より実践的な本を求めてたどり着いた一冊です。当時は「面白い本だな」という印象でしたが、その後イノベーション企画室を立ち上げて事業構想を描いていたときに改めて開くと「これは大切な考え方だ」と深く実感し、二度出会ったような感覚でした。


また、実はこの本をきっかけに楠木さんの研究室を訪ねたことがあるんです。そこでお話ししたときに、「先人たちの知恵を再現するために学問というものがある。でも、経営学だけはまったく再現性がない」と仰っていたことが印象的で、それってまさに「バカなる」に通じる話で面白いなと思いました。


その後、もっと学びたいと経営学の大学院へ進むと、多くの経営者仲間ができ、自分も(起業することが)できるかもしれないという自信をもらって今があります。そういう意味でも、人生のきっかけになった本ですね。


きっかけが影響を与えた行動

そのきっかけから何を得ましたか?


経営企画部時代の自分は、「正しさ」を求めていたように思います。論理的に語れる戦略を美しいと感じ、貢献度の低いものは切り捨てる。今振り返ると、取捨選択を明確にしがちな企画マンだったように思うんです。


この本の考え方に出会ってからは、もう少し全体にカメラを引いて見られるようになりました。自分の中に目の数を増やすことを教えてくれた一冊です。




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