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私のきっかけ ― 「文化系トークラジオ Life」

社会に思いをもって行動するイノベーターたちは、その半生のなかでどのような作品(書籍・音楽・映像など)と出会い、心動かされてきたのでしょうか。本シリーズでは、社会に向かって生きる方々にお話を伺い、それぞれの人生の“きっかけ”をご紹介していきます。



… 今回きっかけをご紹介いただいたイノベーター …

株式会社APTO 狩野洋一

取締役COO

北海道出身。新卒で株式会社集英社に入社し、漫画雑誌の編集業に従事。29歳で独立した後、通信キャリアやサイバーセキュリティSaaS、大手税理士法人などにジョイン。2022年6月に株式会社APTO入社。2024年より現職。

https://apto.co.jp/





     人生のきっかけ    
 「文化系トークラジオ Life」

メディアや各界で活躍する思想家、社会学者、編集者たちの共通の出発点。深夜のラジオ放送「文化系トークラジオ Life」は、荻上チキ、津田大介、古市憲寿ら、気鋭の若手論客たちを数多く輩出した番組だ。社会や文化を題材に、テーマを決めて語り合う。いたってシンプルな企画だが、そこは時代を読む知性の集積地となり、多くのリスナーを惹きつけた。狩野氏もまた、その放送に感化された学生の一人だったという。



きっかけの紹介

きっかけとなったものはありますか?

社会というものに強く関心を持ったきっかけとして、TBSラジオの「文化系トークラジオ Life」という番組があります。特に、2009年5月24日放送の「現代の現代思想」というテーマの回が本当に面白かったんです。思想や哲学、社会学といったものに興味を持つきっかけになったのも、まさにこの番組でした。


その日の放送では、『神への長い道』という小松左京さんのSF小説に触れていて。物語は、20世紀の人間が冷凍睡眠で56世紀にワープする話なのですが、目覚めた主人公がカフェのような場所に入ると、人々は会話しているようで実は誰も相手の話を聞いておらず、それぞれが独り言をつぶやき、ただ聞こえた言葉に反応して一人で喋っているというシーンが描かれているんです。


それについてゲストの東浩紀さんが、「でも、今の私たちはもうそうなっていますよね。LINEなんてまさにそうじゃないですか」と指摘していたり。昔から語り継がれている思想書や哲学書は、実は現代社会とすごくリンクしていて、そのなかで社会の変化とともに人間や人間の感性がどう変遷してきたかという物語があるんだと、そういう話がとても面白かったんです。番組観覧は何回応募したか分からないくらいです。それくらい好きでした。


人生の思考の変化

そのきっかけとの出会いは?


小学生のときにラジオを買って以来、夜中にラジオを聴くことにドはまりして、この番組を聴いていたのは17歳くらいのときですね。ちょうど図書館で本や雑誌を読み漁っていた頃、そこにラジオが加わって、ますます「自分はなんて何も知らないんだろう」と思うようになりました。


最初は小説や雑誌といったものが、現実とは少し切り離された世界のように感じていたんです。知を吸収するためのスペースがあり、そこでただ吸収する感覚だったのですが、それを書いている人たちが番組に出てくると、扱われているテーマが「今、まさに起きていること」だと分かる。


今、日本で社会現象として起きていることが、実は過去に世界のどこかでも起きていて、それについての思想書が既に数多く存在していること。それらを読み込んだ人たちが、現代の問題について語るという構図が面白かったんですよ。日々身の回りで起きることも、世界で起きているニュースも、そうした過去からの連続の上にある。非連続ではなく連続しているものなんだと捉えられるようになりました。


きっかけが影響を与えた行動

そのきっかけから何を得ましたか?


自分の身の回りで起きていることに対して、視野狭窄になるのではなく「これはきっと、誰かもどこかで経験したことがあるものだ」と捉えられるようになりました。その分、冷静になれる部分はあると思います。ただ、それが100%良いことかどうかは、正直分からないところもありますが……。


いずれにせよ、ある問題をアカデミックな観点から見てみたいと思う一方で、会社の問題として捉えることも必要だと思うし、一人の人間としてどう見るべきかという視点も大事にしたい。そういう俯瞰的・分析的なものの見方は、結構役立っている部分があるのかなと思います。




狩野洋一の生き方がここに


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― 好奇心と情熱は、少年時代の図書館から始まった





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